口腔ケアの重要性

虫歯や歯周病などの治療だけでなく、お口の中の健康維持や、機能向上は患者様の生活の質を向上することにもつながります。お口の環境を健全なものにすることによって「食べる」、「喋る」といった行動が積極的になり、結果的に患者様の気持ちが明るくなります。この「食べる」、「喋る」といった行動は”噛む力”と”舌の力”が密接に関連しており、その力を維持・向上させるためには歯を健全な状態に保つことが重要です。お口の環境は身近にいるご家族や介護者の方でも詳しく把握することが困難な場合が多く、痛みや不自由に耐え慣れてしまっていることもあります。なので、もし、しばらく歯科での診察を受けられていない方が身近にいらっしゃるご家庭は是非、一度口腔ケアをご検討してみてください。

歯周病対策

歯周病にかかっている方は、虚血性心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高くなると言われています。また、食べ物をしっかりと噛めなくなるため、胃に負担をかけてしまいます。お口の中をきれいにすることで唾液がよく出るようになり、唾液に含まれる抗菌物質が、細菌やウイルスの侵入を防いでくれます。また、しっかりと食事ができれば体力・抵抗力が上がります。

誤嚥（ごえん）性肺炎について

口の中の細菌が肺に入って起こる誤嚥性肺炎で多くの高齢者の方が亡くなられていることから近年、介護が必要な方の口腔ケアが重要視されています。虫歯などでしっかり噛んで食事が出来ない場合、口の中の筋力が落ち、これによってうまく食事を食道へ飲み込む事ができず、誤って気管内に入ってしまうことがあります。通常は気管に異物が入ると、咳き込むことにより、異物を排除しますが、高齢者や脳卒中などで意識障害や機能低下があると、咳き込む事がうまくできず、誤嚥したものが肺に貯留されたままになり、それが原因で肺炎を起こしてしまいます。また、誤嚥性肺炎は入れ歯の洗浄が不十分だったり、う蝕（虫歯）や歯周病があったりすると、口の中の細菌が増殖して、誤嚥をしたときにも肺炎が起こりやすくなります。そのため、誤嚥性肺炎を防ぐためには、日常的な口腔ケアで口の中を清潔に保つことが重要になります。